研究概要 |
本研究の目的は、紫外光発生が可能なK_3Li_2(Ta_XNb_<1-X>)_5O_<15>(以下KLTN)のマイクロ単結晶を実現することであり、結晶組成とマイクロ単結晶作成条件の最適化の両面にわたって研究を行った。 KLTNの最適組成を見出すために、まず徐冷法によりx=0〜0.3の範囲で結晶作成を行い、次にマイクロ引き下げ法によるマイクロ単結晶の作成を行った。 X値(Ta比)の増加に伴い吸収波長は376nmから316nmに短波長化し、紫外光発生にきわめて有効であることを新たに見出した。また、X=0.225以上でSHG活性が失われることも分かり、結晶構造変化と吸収特性および非線形光学特性の関係を明らかにした。 マイクロ単結晶作成法における新たなアプローチとして、まずX=0において引き下げ速度の最適化を検討した。引き下げ速度を大きくすることによりSHG位相整合波長は短波長化することがシミュレーションの結果から予想され、従来の6〜9mm/hから紫外域に短波長化することを確認した。また結晶軸方向の均質性も向上することも見出し、SHG効率も従来より10倍以上向上し、1%/W以上の高品質マイクロ単結晶の作成に成功した。 これらの結果を踏まえて、X=0.05,0.1,0.15の組成でKLTNマイクロ単結晶を作成した結果、X=0.05,引き下げ速度12mm/hの条件において390nmの紫外光発生を確認しい、KLTNマイクロ単結晶が光ダメ-ジにも強く紫外光発生にも優れた特性を有していることを見出した。 世界で始めて見出されたこれらの結果は、第11回結晶成長国際会議(ICCG'X1)に受理されており、順次公表する予定である。
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