研究課題/領域番号 |
06650360
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山本 あき勇 福井大学, 工学部, 教授 (90210517)
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研究分担者 |
橋本 明弘 福井大学, 工学部, 助教授 (10251985)
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キーワード | InN / Si / タンデム太陽電池 / GaAs / 窒化 / GaN / ヘテロエピタキシャル成長 / MOCVD成長 |
研究概要 |
本研究は、Si基板上へのlnNのヘテロエピタキシャル成長を実現し、その技術をもとに、高効率のInN/Si2接合モノリシックタンデム太陽電池実現の可能性を明らかにすることを目的としている。これまでの検討により、窒化処理したGaAs(111)基板上へのInNのヘテロエピタキシャル成長が可能であること、さらにその技術を利用して、InN/GaN/Si(111)構造およびInN/GaN/GaAs/Si(111)構造の形成が可能であることを見い出した。今年度は、(100)基板の使用を念頭に、GaAs(100)、InAs(100)表面の窒化処理とそれら基板上へのInNのヘテロエピタキシャル成長について検討し、以下の成果を得た。 (1)窒化処理したGaAs(100)上へのInNのヘテロエピタキシャル成長:600〜1000℃のNH_3気流中で窒化処理したGaAs(100)基板表面には閃亜鉛鉱構造GaN膜が形成される。(111)基板の場合には800℃以上でGaN膜はウルツ鉱構造となるが、(100)基板では1000℃でも閃亜鉛鉱構造GaN膜が安定に存在する。閃亜鉛鉱構造GaN膜上にInN膜をMOCVD成長させた場合、閃亜鉛鉱構造GaN膜が支配的に成長するが、ウルツ鉱構造InNが混在する。(100)2°off<110>基板と(100)just基板との比較から、ウルツ鉱構造InNの成長には、基板表面でのマイクロファセットが関係していると考えられる。 (2)InAs(100)基板表面の窒化とその上へのInN膜のヘテロエピタキシャル成長:GaAsの窒化によってGaN層が形成されるように、InAsの窒化によってInN層が形成される可能性がある。そこでNH_3気流中でのInAs基板の窒化処理を検討した。その結果、InP基板の窒化の場合と同様に、基板表面でInNは形成されないことが明らかになった。この結果は窒化によるInNの形成が困難であることを示しており、その原因はInNの熱的不安定性であると考えられる。窒化処理したInAs(100)基板上へのInNのMOCVD成長を検討した結果、基板表面が窒化処理時の熱分解によって形成されたファセットを有する場合にのみ、閃亜鉛鉱構造InN単相がヘテロエピタキシャル成長することが明らかとなった。この結果は、閃亜鉛鉱構造結晶の成長機構の解明の観点から興味ある現象である。
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