研究課題/領域番号 |
06650365
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
奥田 高士 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60233459)
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研究分担者 |
安達 信泰 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (90262956)
大里 齊 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (20024333)
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キーワード | Bi_3Fe_5O_<12>結晶構造 / Bi_3Fe_5O_<12>多結晶膜 / 対称X線回折法 / 非対称X線回折法 / 反応性イオンビームスパッタ / Bi_3Fe_5O_<12> / CoO周期性積層 |
研究概要 |
本年度はBi_3Fe_5O_<12>(BIG)純物質の精密X線結晶構造解析に成功した。BIGは非平衡物質であるためガ-ネット単結晶基板上にエピタキシャル成長法により単結晶薄膜試料としてのみ合成可能であった。結晶構造因子を決定するために必要なX線回折データは単結晶薄膜試料だけでは得られず、多結晶試料が必要である。そこで多結晶試料の合成法の研究を行った。石英ガラス基板上に熱平衡相ガ-ネット多結晶層を形成し、それをエピタキシャル成長基板に使用することを着想した。基板層ガ-ネット相は格子定数が1.240nmでありBIG単結晶膜の格子定数1.2624nmよりはるかに小さいがBIG多結晶膜が生成することがわかった。多結晶薄膜試料について対称および非対称X線回折法により測定したデータを最小二乗法およびリ-トベルト法により解析し、精密格子定数と結晶構造因子を決定した。多結晶膜はガ-ネット構造をもつことが確かめられた。格子定数は1.2647nmであり、単結晶膜やBi置換YIGからの外挿値である1.2624nmよりかなり大きいという興味深い結果が得られた。下地層の熱平衡ガ-ネット層は無配向であることが確かめられたが、BIG層は膜面に垂直方向が[100]に配向する傾向を示すことを見いだした。以上の結果は磁気特性制御と密接に関連する問題であり、さらに詳しく研究する必要がある。 BIGは三元以上の酸化物としては異例の低温で合成できるので他の酸化物の極薄層と交互積層すると結晶性酸化物の周期性多層構造の形成が期待される。反応性交互イオンビームスパッタ法により軟磁性BIGとCoOとを組合せて、BIGの磁気特性や磁気光学特性を変調する研究に着手した。X線解析ではガ-ネット構造物質の生成や期待された周期性多層構造の形成は認められないが、磁気特性や磁気光学特性は室温で強磁性をもつ結晶性物質の生成を示している。材料設計の観点から新しい知見であり、物質相の同定と膜構造解析を進めている。
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