研究概要 |
平成7年度の研究の一つは、BaZn_2-WならびにSrZn_2-WフェライトへのLi_2O単独添加、あるいはLi_2O、BaO(SrO)の複合添加が磁石特性にどのような影響を与えるかについて、詳細に実験検討した。その結果、無添加の試料に比べ、BaZn_2-WフェライトにLi_2O単独添加、あるいはLi_2O、BaOの複合添加は磁石特性が無添加の試料に比べ、(BH)maxで70%向上することが知られ、特に顕著な結果が得られたものは、BaZn_2-Wフェライトに複合添加した試料では空気中焼結でBaZn_2-Wフェライトでは(BH)_<max>=20.3kJ/m^3の磁石特性が得られた。SrZn_2-WフェライトではLi_2O単独添加では、W相単相は得られなかった。複合添加で単相になったが、(BH)maxではBaZn_2-Wフェライトに比べ値は低かった。また、複合添加は比較的低い焼成温度(1175℃)でW相単相が得られ、結晶の安定化にも寄与していることが知られた。 一方、昨年科研費で購入した遊星ボールミルによる実験は、遊星ボールミルの使用条件と材料のハンドリングに時間がかかり、当初の目的を完全に達成することはできなかったが、メカニカルグラインデイングによりSrO・2ZnO・nFe_2O_3(n=7,8,9)の組成について行った。その結果、n=7の組成において、10時間のメカニカルグラインデイングの後、1000-1200℃の温度範囲で熱処理を行うことにより、保磁力(H_<cJ>)180kA/m(2.25KOe),σ_s=80.5Wbm/kg(64.0emu/g)が得られた。ボンド磁石用粉末として使用できることが知られた。また、これらに先に報告したような添加物を添加すると、さらに、保磁力が増加するものと思われるので、今後これらの研究を進めて行きたい。
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