本研究は、本申請者らが提案しているポリイミド/パイレックスガラス/酸化亜鉛/窒化シリコン複合ダイアフラム超音波トランスジューサを同一基板上に多数集積化することにより高空間分解能2次元超音波トランスジューサアレイを試作すると共に、その駆動・検出電子回路とハイブリッドに集積化し、マイクロマシン用超音波イメージセンサを構成することを目的としている。 本年度は、まず、複合ダイアラムの最下部を形成する窒化シリコン膜のスパッタ条件とその膜質に関して実験的に考察した。その結果、高周波はスパッタ法により200℃程度で成長した窒化シリコン膜は非常に良好な機械的強度と科学的耐久性を示し、デバイス製作時の種々の工程における保護膜として十分利用可能である事が分かった。そして、この窒化シリコン膜がCF_4を用いた反応性イオンエッチングにより選択的に加工できることに着目して、犠牲層除去を最終工程とするデバイスの作成プロセスを確立した。 また、浮き構造を作成する際にシリコン層を付加すると、その柔軟性により内部応力がダイアフラム全体に拡散し、発生する歪が低減できることを明らかにした。さらにダイアフラムの支持形状を十字型にすることにより歪が分散し、より平坦で大面積のダイアフラムが高い歩留まりで作成できることが判った。 そして、この様にして作成された構造上に圧電性酸化亜鉛薄膜を堆積して複合ダイアフラムを作製した。この構造を利用して、圧電共振子を構成したところ、500MHz帯で基本共振する良好なものが実現できた。 現在、この様にして確立された作製プロセスを利用して、複合ダイアフラム超音波トランスジューサの実現を試みている。
|