研究課題/領域番号 |
06650387
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
宇佐美 興一 電気通信大学, 電気通信学部, 講師 (60017407)
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研究分担者 |
後藤 俊成 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (70017333)
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キーワード | 真空管IC / 冷陰極 / トンネルエミッタ / トンネル効果 / トンネル素子 / トンネル電流 / MIS素子 / フッ化物絶縁膜 |
研究概要 |
本研究の目的は、電子管を微小集積化する際に必要なミクロンサイズの冷陰極電子放出源を開発することにある。我々は、構造が簡単で大面積化が容易なトンネル型素子に注目している。しかし、この型の電子放射効率は10^<-5>〜10^<-3>と現状では極めて低い。その原因の一つとして、現在検討されている素子では絶縁層および上部電極の金属膜層が非晶質であり、電子がこれらの層を通過する際に散乱されエネルギーの分散を生じることが考えられる。ここでは、絶縁層と金属電極層を単結晶化し、電子の散乱を減らすことによるMIS型トンネルエミッタの放射効率向上の可能性について調べている。本年度は次のような検討を行った。その結果を次に示す。 1.Si基板上へのフッ化物系絶縁膜の形成と評価 n-Si(100)基板上に、BaF_2を真空蒸着法により基板温度を400℃〜650℃まで変化させて堆積した。その結果、500℃以上で(111)に強く配向した厚さが均一なBaF_2絶縁膜を堆積することができた。また、これらの絶縁膜の表面を走査型電子顕微鏡により観察した結果、600℃で最も平坦な表面が得られた。 MIS型トンネルエミッタ素子の作製および放射電子測定用チャンバの製作 結晶性と平坦性の良い、600℃の基板温度で堆積した厚さ60nmのBaF_2絶縁膜を用いて、MIS型トンネルエミッタ素子を作製した。素子は10mm×10mmのSi基板上に3つ作り、素子1個当たりの電子放射面の面積は1mm^2とした。電流-電圧特性を測定したところ、素子ごとのばらつきも少なく、4.5V付近から立ち上がるダイオード特性が得られた。またこの素子のファウラ-ノルドハイムプロットから、ダイオード電流の大部分が絶縁膜を通してのトンネル電流であることがわかった。さらに、この素子の放射電子を測定する高真空チャンバの設計を行い、現在排気系の製作を行っているところである。
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