研究概要 |
強度がガウス分布である円偏光を対物レンズへ入射させたときの,デフォーカス位置に置かれた媒体での反射,そしてフーリエ変換面に置かれた光検出器までの光の伝播を,たかだかフレネル近似が適用できる条件下で求め,検出器位置での光分布を導いた。数値計算により光強度分布プロファイルが求められ,酸化磁性材料を用いた拡大実験により,デフォーカス信号再生法の考え方および理論式が裏付けされ,その理論式を用いての本方式の検討が可能となった。 デフォーカス量(レンズ後焦点面から媒体までの距離)をパラメータとし,媒体に反転磁区が孤立して存在すると仮定したとき,再生信号を信号対雑音比で評価すると,反転磁区がビームウエストの約3分の1以下において,直線偏光を用い焦点面で信号検出する従来法より改善されることが示された。また,孤立磁区ではなく,再生目的の磁区の両側に反転磁区が存在し,こりらの干渉を含めて計算を行った。多くの計算時間を要するため広範囲のパラメータについてり計算は完了しないが,非常に磁区が小さく整然と並んでいるときにデフォーカス法が優れていることが分かった。これは高密度の情報が周期的に記録されている場合であり,一般的な磁区配置の場合に本方法が有効であるとの計算結果は,選んだパラメータの中では得られなかった。設定パラメータを選び直しての計算を継続中である。 一方,直線偏光を入射しての再生方式におけるフーリエ変換面での信号検出を考えるとき,回折により光振幅が分布するのに加えて偏光角の分布が導かれた。これを考慮することにより,従来より詳細な信号評価が行え,十分大きな検出器を用いるとき得られる信号はその置かれる位置には依存しないこと,小さな検出器の場合にはフーリエ変換面での信号検出が僅かながら有利であることが明かになった。
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