研究概要 |
平成6年度は,微小反転磁区の信号再生が,デフォーカス法を用いることにより従来法に比較して有利になる場合があることの実験事実を,理論計算で裏付けすることができ,本方法の一般的検討を可能とする手立てを与えることができた.しかし,デフォーカスの条件などの広い範囲にわたっての検討までは至っておらず,デフォーカス法の最大能力までは明かにできなかった. 平成7年度は,デフォーカス量(レンズ後焦点面から媒体までの距離)に依存して,また,記録されている反転磁区の大きさの対ビーム径比に依存して,さらには,反転磁区の並び方に依存して,従来法との比較を行った. 再生光の収斂条件を一定とし,孤立反転磁区の大きさに対する出力の信号対雑音比のデフォーカス量をパラメータとしての計算結果は,本方法が媒体の射出光の位相分布を検出している,すなわち,エッジ(磁壁)を検出していることを反映して,いずれのデフォーカス量においても再生に適した大きさのビットが存在することが示された.また,逆に,記録に用いられるビットの大きさが与えられたときに最適のデフォーカス量が定まることが明かとなった. 一方,ランダムに並んだビット列の再生信号の評価においては,孤立反転磁区の場合においてデフォーカス法が従来法に比較して優位になるビームウエスト径の1/3の大きさの反転磁区単位に対して,従来法と同様にデフォーカス法の場合にも,波形等化しない場合には波形干渉のために源信号が再生できないなどの結果となった.デフォーカス法は光の回折を利用しているため,規則的なビット列に対して大きな再生出力を与えるが,任意のビット列に対しては必ずしも有効ではない.符号の変調方式を定めてのデフォーカスの場合の波形等化法について検討を要する結果となった.
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