本研究では、主としてアモルファスシリコンの太陽電池モジュールを対象として、実動作環境下での劣化ならびに寿命決定要因を定量的に把握し、システム設計に反映させる方策を探るとともに、長期にわたる劣化現象のモデリング手法を確立して最適システム運用、寿命予測、劣化防止などのために有用な太陽電池モジュールの評価指針を明らかにする。 初年度は精密全天日射計(MS-801)温湿度センサー(HS151)とデータ収集のために長期測定用のデータロガー(LS-3000PtV)を導入、太陽電池の性能評価に重要なパラメータとなる太陽光到達エネルギーの長期にわたる計測システムができ、観測を始めた。 その後、太陽電池の実動作環境における性能および寿命評価をするため、アモルファス太陽電池パネルとSi多結晶太陽電池パネルを屋上に設置した。実負荷としては年間を通して一定負荷変動幅がある冷暖房エアコンを用い商用電源と併用した。太陽電池の余剰電力は小さくまた簡素化のため蓄電池は省いた。 アモルファス(18W)解放時、負荷接続時の電圧・電流を一定時間間隔でデータロガーに取込み、長期間観測出来るようになった。また、一月に数回程度の晴天の日を選び、I-V特性を観測するようにした。 観測データは全て一般の表計算ソフト(エクセル)で集計して、データ処理した。 夏季の方法で観測データから劣化現象を追跡・評価出来る簡易的な方法が確立できた。 “(1)"太陽電池パネルの短絡電流は電池の劣化とほぼ比例して減少することが報告されており、現在連続観測中の短絡電流を直達日射量およびパネル温度で補正することによって、劣化の様子を簡易的に評価出来る。 “(2)"晴天の日を選んで観測したI-V特性から求めた最適動作点の出力を直達日射量およびパネル温度で補正して、相対的な変換効率を求めた。 上記の方法で長期間の観測データを蓄積することによって、アモルファス太陽電池の劣化現象が見られ、実負荷時の性能、寿命評価のための観測が可能となった。
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