研究概要 |
1点代数曲線符号の成形距離までの効率的復号法の基本的なアルゴリズムを確立し、その成果をデンマーク工科大学のグループとの共著により2篇の論文にまとめた。その内正則平面曲線符号に関する1篇は、平成6年6月にNorwayで開催されたIEEE Internataional Symposium on Information Theoryで発表すると共に、IEEE Transactions on Information Theoryの代数幾何符号特集号に投稿し、掲載が受理され、近々出版される予定である。もう1篇は、三浦等が導いた、より広い符号クラスに関するもので、そちらはFinite Fields and Their Applications,Vol.1,No.1(1995)に掲載出版された。任意の1点符号クラスに対する最終版の理論的成果は、平成6年7月Russiaで開催されたIEEE Internataional Workshop on Information Theoryにおいて一部発表し、その全貌を論文としてまとめつつある。一方、我々の高速復号法を計算機上に実現し、具体的によりその実際的な性能評価を行うことは、ようやく準備に入った段階で、本研究課題の最終年度である平成7年度に実施する運びである。なお、本研究を進めるに当たって得られた、より広い代数幾何符号一般についての知見をまとめ、応用数理Vol.4(1994)に発表した。一方、これらの符号が将来使用されるときの、いくつかの関連する問題についても、新たな検討を開始した。その一つは、これら符号の復号のハードウエア化に関する基本問題である。すなわち、より高速な情報通信に対処するための並列処理アーキテクチヤの導入に当たって、その効率化の問題を検討し、現在のReed-Solomon符号でも用いられているシストリック・アレイ型の構成法を代数幾何符号にも適用できる形に拡張することを試みた。その基礎となる成果は、平成6年11月Australiaで開催された国際情報理論とその応用シンポジウムで発表した。実際の代数幾何符号へのこの方法の具体化については、研究分担者との共著により、電子情報通信学会の情報理論研究会等で口頭発表し、さらに、平成7年秋にCanadaで開催されるIEEE Internataional Symposium on Information Theoryで発表する予定である。
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