研究概要 |
(1)研究成果 光磁気記録に現在最も広く用いられている2値の(2,7)RLL符号,及びこれに代わる次世代符号として脚光を浴びている(1,7)RLL符号を,3値の3B2T符号及び4B3T符号と性能を比較検討した.以下述べる所要CN比とは,10^<-4>のビット誤り率を得るために必要な再生信号読み出し点におけるCN比である.また,いずれの符号に対しても共通に入力データのビットレートf_bは12Mbpsと設定してある.(1)(1,7)及び(2,7)RLL符号では,ML(Viterbi復号)方式の効果は明かであり,PR(1)とPR(1,1)ML方式とを比べると,(1,7)RLLでは約4dB,(2,7)RLLでは約10dBの改善がある.(2)3B2T符号に対しては.PR(1)はPR(1,1)ML方式よりも約1dB優れている.(3)4B3T符号に対しては.PR(1)とPR(1,1)ML方式では殆んど差異は見られない.(4)これら4つの符号の中では,3B2Tが最も優れ,4B3Tと(1,7)RLLがほぼ同等で3B2Tより約2dBの劣化,(2,7)RLLはさらに約2dB劣化している.(5)サンプル・サーボ方式のために提案されている差分検出方式は,振幅変動に強いので,高密度化に期待がもてる. 2.考察 以上のことを踏まえて,次の見解に達した.(1)3値記録は明らかに高密度化に適している.(2)3B2Tの4B3Tに対する優位性は,シミュレーションに用いた規格化実行幅がかなり高く,再生信号減衰限界に近いため,符号化効率ηが最も良い(η=1.50)ことの効果となって現れたものと思われる.しかしながら実際の系では,アンプ設計,パイロット信号挿入よりDCフリーの方が望ましいとされている(このことの検証は,今後入手予定の光磁気記録テスターを用いて行いたい).従って,現在新たにη=1.44でDCフリー,κ制約(最大極性反転間隔制約)を持つ13B9T符号を開発中である.(3)3B2T及び4B3T符号においても,Viterbi復号法の有効性を発揮させるために,PR(1,1)に代わる新たなPR方式の開発が必要である. 3.その他 (1)Viterbi復号操作の中で,マージする状態とその時刻を見い出すために要する計算時間及びメモリ容量を大幅に削減できる新たな方式(我々はこれをロザリオ方式と命名)を開発した.
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