研究概要 |
本研究は,多元接続数が多くとれる実数擬似雑音系列による準同期式スペクトル拡散通信方式の室内無線LANへの適用性を研究し,室内無線LANに1つの選択肢を与えることを目的としたものである.本研究は来年度も引き続き行う予定であるが,本年度の研究実績を以下に要約する. 1.室内無線LANにおけるマルチパスの見積りと把握 室内の電波伝搬プロファイルの文献を調査するとともに,幾何光学および物理光学の手法に基づいて柱や壁が電波伝搬に与える影響をシミュレーションによって検討を行い,室内での電波による無線LANにおける電波のマルチパスを見積ることができた.また,室内の蛍光灯照明下で,0.8μ帯の半導体レーザ光をスペクトル拡散変調して空間伝送する実験を行い,粗い表面の白色の壁や天井でもレーザ光の反射伝送が可能なことがわかった. 2.多元接続のための符号の構成 一定の遅延範囲以内であれば局間干渉がない準同期式スペクトル拡散多元接続方式の符号を構成し,データ変復調の実験を行った.符号は異なる系列が直交する実数直交擬似雑音系列にシフト分に対応する0値を挿入し,データ変調した後にシフト直交実数有限長系列をたたみ込んで構成し,局間干渉がなく更に符号間干渉も抑えたデータ復調が可能なことが実証された.この項の符号構成の実験および前項のレーザ光伝送の実験において,本年度に本研究の設備として購入した任意波形発生器(横河電機(株)製AG1200)が符号を発生するために有効に使用できた. 以上の実績により次年度の研究の遂行に十分な見通しが得られた.
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