研究概要 |
平成6年度中の成果のうちで特に重要なものは、IEEE Trans.on Microwave Theory Tech.,vol.42,pp.1784-1790で発表した“Packaging of Printed-Circuit Lines:A Dangerous Cause of Narrow Pulse Distortion"である。この論文は本研究の当初の目的とした問題について、初めてその成果を国内、外にFull Paperで公表したもので、これほど詳細に検討された論文はこれまでになかったこともあって、極めて反響が大きかった。その後、さらに波形歪みの問題について検討するうちに、この歪みの性質、原因を知るには、漏洩現象によってもたらされる伝送線路分散特性の特異な振舞いを明かにしなければならないことに気付いた。この特異振舞いを調べて行くうちに、分散特性において物理的に意味ある解のほかに、物理的には意味を持たない、いわゆる非物理解の振舞いが重要な役割を果たしていることを発見した。平成6年度ではこのことについて、重点的に研究を進めてきた。このことに関わる成果の一部を1994年のIEEE/MTT-S International Microwave Symposiumにおいて公表してきた。 ところで、本研究において、分散特性における特異振舞いは線路の種類の違い、構造の違いなどによって多様な形態で現れることも明確になったが、実はこの多様性が本研究者は新しく発見した非物理解の振舞いによって一般化して理解できることをも発見した。これらの発見は本研究課題を遂行する上での極めて重要な知見となるものである。このことに関わる成果の一部を1995年IEEE/MTT-S International Microwave Symposium,!995 URSI International Symposium on Electromageticsおよび1995 Progress in Electromagnetic Research Symposiumにて発表予定(いずれも採録決定)である。
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