平成7年度では平成6年度の成果をもとに、さらに波形歪みの要因と成りえる現象について詳細に検討を行った。その結果は以下のごとくに大別できる2つの事柄に纏めることができる。 1.非漏洩波と漏洩波の同時伝搬伝搬現象によって生じる分散特性中の特異振舞いに対する統一的解釈 同時伝搬現象による特異振舞いは分散特性においては物理的に意味を持たない、いわゆる非物理解でしかも一つの実根が常に中心的役割を果たしていることを線路の種類、構造を変化させて数値解析的に検証した。このことに関わる成果の一部を1995IEEE/MTT-S International Microwave Symposiumおよび1995 URSI International Symposium on Electromagneticsにて発表するとともに、それらの正規論文をIEEE MTT TransactionsおよびRadio Scienceにて公表(一部印刷中)した。 2.同時伝搬伝搬現象発生下における超短パルス歪みのFD-TD法による検証 同時伝搬現象が発生している線路を用いて超短パルスを伝送した場合の波形歪みをFD-TD法によって検討した。その結果、励振した超短パルスが一定距離伝搬後は広いパルスに必然的に変換されることを見い出した。このことに関わる成果の一部は1996IEEE/MTT-S International Microwave Symposiumにて発表予定(採録決定)である。 今後の研究の展開 前項2において見い出されたパルス幅拡大の現象は将来の超高速通信における大きな障害に成りことが懸念されるが、いまだに何人によっても理解されていない。この問題を引き続き理論的に検討するとともに、実験による検討を始めたい。
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