オブジェクト指向型交通流シミュレータの開発と応用に関する研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06650438
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 高羽 禎雄 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50013107)
• キーワード: 交通流シミュレータ / オブジェクト指向 / 高度交通制御 / 高度交通情報提供 / 路車間通信 / 車々間通信

研究概要

本年度は、機能仕様の作成および構築・機能試験を行った。
1.機能仕様の作成 従来のパーソナルコンピュータ上で動作させるために縮小および簡略化していたオブジェクト指向型交通流シミュレータの機能を再検討し、機能の拡張および規模の拡大に伴う新たな仕様の作成を行った。パーソナルコンピュータからワークステーションへと作業環境を移行することにより、従来速度を確保するために十分にはなし得なかった既存クラスの独立化と抽象化をより強力におし進めた。さらに、既存のXーターミナル等の併用により、グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)の提供が容易となるので、このようなGUI環境に対応するための機能仕様についても検討を加えた。
2.構築と機能試験 作成された機能仕様に基づきシミュレータ本体の構築を行った。主な作業は仕様をみたすクラスライブラリの構築である。オブジェクト指向の環境を提供する言語はいくつかあるが、実行時における速度面と汎用性から、現在広く用いられているコンパイラ言語であるC++言語を用いて作成した。なお、コンパイラはg++(GNU C++コンパイラ)を使用した。さらにこのクラスライブラリが、要求された通りの機能をもつことを確認した。また、速度については性能の検査の結果、従来比およそ30倍という向上が見られた。規模については速度以上の向上が見られるが、規模の拡大に伴う速度低下を考えあわせた結果実用上は従来比30倍程度の改善となったことがわかった。

研究成果

• [文献書誌] Kageswa,M.Takaba,S: "An Object-Oriented Road Traffic Simulator for Traffic Flows with Dynamic Information" XI Annual Simulators Conference,SCS Simulation Series. 26. 436-441 (1994)
• [文献書誌] 影沢政隆 高羽禎雄: "オブジェクト指向型交通流シミュレータによる駐車場情報提供のシミュレーション" 第13回シミュレーション・テクノロジー・コンファレンス発表論文集. 95-98 (1994)
• [文献書誌] Hatakeyma,T.Takaba,S.: "A Network Architecture of the Inter-Vehicle Packet Communication System" Vehicle Navigation & Information Systems Conference Proceedings. 159-164 (1994)
• [文献書誌] Kagesawa,M.Takaba,S.: "Simulation of Road Traffic Management System with Dynamic Information" Vehicle Navigation & Information Systems Conference Proceedings. 223-228 (1994)
• [文献書誌] Tokoro,M.Takaba,S.: "Route Guidance Strategy Under High Penetration Condition" Vehicle Navigation & Information Systems Conference Proceedings. 303-308 (1994)