生理機能パラメータの変動性に基づく動物の環境アメニティ評価

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06650448
• 研究機関: 室蘭工業大学
• 研究代表者: 田澤 皓 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (40002109)
• 研究分担者: 坂本 雄児 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (40225826) ; 長島 知正 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (00002288)
• キーワード: 鳥類卵 / 鳥類胚 / 胚瞬時心拍数 / 一過性徐脈 / 特異的不整脈 / 自律神経機能発達 / 低温及び高温暴露 / 低濃度及び高制度酸素環境

研究概要

38℃環境における心拍数変動の特性及び成因解明
(1)実験モデル動物として用いる鳥類卵(胚)は、貯卵できる。その場合には、貯卵が孵卵中の胚の成長に及ぼす影響を予め評価する必要がある。又、胚が正常に成長するためには、孵卵前半、転卵が必要である。そこで、貯卵及び転卵が胚の成長及び生理機能に及ぼす影響を評価した。
(2)前年度、瞬時心拍数の変動特性として、日令14-15日に一過性の特異的な徐脈が現れ始め、その後不整脈現象も増大するなど興味ある知見を得た。その成因として自立神経機能の発達が関与していると仮定し、各種の自律神経促進及び抑制剤を静脈より投与して心拍数応答特性を計測した。自律神経機能の関与は否定される結果となった。又、外部からの故意に加えた振動に対しても有意の応答特性は示さなかった。従って、成長する胚の特異的不整脈はペースメーカ細胞における内因性変動である可能性も考えられ、その特性及び成因解明には今後の研究が必要である。
変化させた環境における心拍数変動の応答特性
(1)最適な孵卵温度(38℃)で胚は正常に成長し、その温度からの逸脱は成長を阻害する。従って、最適孵卵温度は胚にとって快適環境温度であると仮定し、胚を急性に低温及び高温に暴露して、心拍数応答及び変動特性を解析し、38℃における結果と比較考察して、環境アメニテイの量的評価の可能性を研究している。変動性は予期したように減少している。
(2)同様な意味において、空気中の心拍数変動特性と低濃度及び高濃度酸素環境における心拍数変動特性には有意義な差が存在すると仮定し、環境の酸素濃度を急性に変え解析評価を行って、幾つかの興味ある結果を得ており、今後の研究に発展させる。

研究成果

• [文献書誌] Sakamoto,Y.,Haque,M.A.,Ono,H.Pearson,J.& Tazawa,H.: "Two-dimensional cardiogenic ballistic movements of avian eggs." Medical & Biological Engineering & Computing. 33. 611-614 (1995)
• [文献書誌] Pearson,J.T.,Haque,M.A,.Hou,P-C.L.& Tazawa,H.: "Developmental patterns of O_2 consumption,heart rate and O_2 pulse in unturned eggs." Respiration Physiology. 103. 83-87 (1996)
• [文献書誌] Haque,M.A.,Pearson,J.T.,Hou,P-C.L.& Tazawa,H.: "Effects of pre-incubation egg storage on embryonic functions and growth." Respiration Physiology. 103. 89-98 (1996)
• [文献書誌] Tazawa,H.& Hou,P-C.L.: "Species Diversity in Cardiovascular Development-Birds. In : Ontogeny of Cardiovascular Systems : Molecules to Organisms." Cambrigde University Press (Editors,Burggren,W.W.& Keller,B) (in press),
• [文献書誌] Tazawa,H.& Whittow,G.C.: "Incubation Physiology. In : Avian Physiology." Academic Press (Editor,Whittow,G.C.) (in press),