本研究では、現状の二次電池の搭載さえ困難な小型アクチュエータを対象とした非接触エネルギー伝送システムの構築について検討を加え、その実用化に資する知見を得ることを目的としている。 サブマイクロ波帯の微弱交流磁界を用いてマイクロマシンに駆動エネルギーを連続的、且つ安定に供給するためには、交流磁界の存在空間をできるだけ広げる必要がある。そこでまず、伝送電力領域毎に適したカップリングトランスの構造について検討を加え、10mWから100mW程度の伝送電力量では平面状にミアンダコイルを配置することによって空間的な均一度の高い磁界分布が得られることを明らかにした。一方、100mWを超える電力を伝送する場合、ミアンダコイルでは磁界を供給するための励磁電流が過大となり、励磁損失の増加を招くため、瞬時の発生磁界の向きを互いに逆向きになるように接続した複数のスパイラルコイルが適していることも明らかとなった。ミアンダコイル及び逆接続のスパイラルコイルはいずれもその配置されている平面上野限られた空間に所望の磁界分布を構成できることが特徴であり、その周辺では速やかに磁束密度は減少し、いわゆる電磁雑音を発生するノイズ源となることを避けることができる。 ついで受電側に組み込まれるカップリングトランスの構成について実験的な検討を加え、試作回路において最大10Wまでの電力伝送が十分可能であること確かめている。 さらに、受電側の動作状態をモニターしで送電側にフィードバックするための回路構成についても基礎的な検討を加え、8字コイルを基本としたカップリングトランスが耐ノイズ性に優れ、本システムに適当であるという見通しを得ることができた。
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