縦振動水晶振動子をシリコンゴムに接触させたときのインピーダンス変化についてはJIS20のシリコンゴムでは84kΩで理論値と実験値は一致したがJIS硬度を増すと理論値は増加するのに、実験値は70kΩから110kΩとほぼ一定になった。この不一致については振動子の支持部の影響が考えられ、インピーダンス増加パターンから材質感を測定することが実現できなかった。 周波数変化パターンは物質の硬さ、柔らかさの情報を表しているため信号処理システムを製作した。本システムは縦振動水晶触覚センサ、自励発振回路、アナログマルチプレクサ、周波数カウンタ、パソコンから構成されている。マトリックス状に配列した水晶触覚センサと自励発振回路をアナログマルチプレクサで選択する。その発振周波数を周波数カウンタで測定し、データをパソコンで収集して信号処理を行う。水晶触覚センサの接触圧を一定にするためシリコン製ストレインゲージを用いたカプセルを試作したが接触圧を2gに設定するのが難しく再現性のあるデータをとることができなかった。 現在、測定できている物質はシリコンゴム、消しゴム、発砲スチロール、ゼラチン、手のひら、手の甲等の生体材料の硬さである。水分のあるものは水晶振動子の電極に水がつかなければ測定は可能である。しかし、プラスチックやガラス等の硬いものでは振動子は発振しなかった。今回使用した縦振動水晶振動子はクロック源として開発されているためケースから取り出して触覚センサとして使うには機械的強度が小さく壊れ易い欠点を持っている。 縦振動水晶触覚センサが硬さ知覚用触覚センサとして備えるべき条件を満たしているがどうかを検討した。その結果、7つの条件のうち1つは実験できなかったが6つの条件すべてを満たしていないことがわかった。
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