平成6年度に行った平面および球面に関する形状計測結果を基に、誤差の評価と計測精度の向上について検討を行ったところ、誤差の要因として、装置の校正精度、形状再構成のための拘束点位置計測精度および再構成計算方法に問題があると考えられた。第1の点については、直動テーブルの組み合わせ部分に改良を施し、再度システムを組み直した。第2の点については、対象鏡面上の1点の位置情報を得るのに、計測システムとは独立した基準面が必要となるが、これを簡易的なアクリル製の基準面から、定盤上に固定した鋼鉄製の基準面に変更した。さらに、基準面の位置情報を得るために、基準面上に格子状に配置した9点のマ-カ位置を三角測量の原理で計測し、基準面と対象鏡面との接触点位置およびその点における面法線方向を求める方式を考案した。第3の点については、双3次の面形状関数を仮定して、局所的に面形状の再構成計算を進めるアルゴリズムを開発した。 本計測システムを用いて対象鏡面を計測するには、毎回カメラ光軸位置の初期化を行う必要があり、従来はその処理を半自動的に行ってきたが、それを全自動化するためのプログラムを作成した。また、基準面位置計測を新たに行うこととしたため、同カメラシステムを用いた画像計測プログラムの開発を行った。 以上のハード、ソフト両面の改良を行い、前年度に引き続いて球面の計測実験を行ったところ、計測精度は前年度より僅かに改善されたものの、ほぼ同等の結果となり、目標の誤差±100μmを達成できていない。この原因として、ひとつには機械加工精度に依る装置校正の限界が考えられるので、今後は当社予定していたソフト処理による装置校正方法について引き続き検討する。
|