カメラと光源を用いた能動的画像計測法により鏡面形状の計測を行うために、3軸直交直動テーブルとパン/ティルト回転テーブルから構成された5自由度カメラシステムを試作し、同システムを用いて鏡面の形状計測実験を行った。本システムは、カメラ光軸上に点光源を有し、面の法線方向から照射した光を同一方向で受光するという方法をとることで、面法線の直接的計測を行うことが特徴であり、これにより大型形状に対応でき、かつ裏面反射に影響されない計測が可能となる。 初年度において、プロトタイプのシステムを構築し、形状計測実験を行った。その結果に基づき、次年度では以下の改良を施した。ハード面では、第1に、直動テーブルの組み合わせ部分の装置構成精度を高めるために、再度システムを組み直した。第2に、対象鏡面上の1点の位置情報を取得するための対象物体の固定面を、アクリル製の基準面から機械加工により精度を出した鋼鉄製の基準面に変更した。ソフト面では、第1に、計測開始時点のシステム初期化方式を確立した。第2に、基準面と対象鏡面との接触点位置およびその点における面法線方向を求める方式を考案した。第3に、双3次の面形状関数を仮定した局所的な面形状の補正計算アルゴリズムを開発した。 実験は、計測誤差を評価できるようにガラス製の平面鏡と半径75mmの鋼球を用いて行った。平面鏡については、得られた再構成面の仮想平面からの最大ずれ量は12mmで、良好な結果を得た。鋼球の半径については、真値75mmに対して73.7mmから75.1mmの範囲で結果がばらついたが、各計測における再構成点と平均球面との平均ずれ量は49mm、標準偏差は14mmであり、球としての形状は正確に再構成された。誤差要因は多岐にわたると考えられるが、これらを個々に改良した上で、自由曲面の形状計測を行い、精度を評価することが今後の課題である。
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