研究概要 |
本研究では,脳波情報処理に基づく,睡眠レベル,覚醒レベルを含めた生体活性レベルの識別同定手法を確立することを目的として,1.選択反応実験システムの開発,2.波形認識法による睡眠脳波ステージ自動判定システムの構築,3.生体活性レベルの特徴量としての非定常性の定量的抽出法に関する検討,等に関して研究を進め,以下の研究成果を得た. 1.選択反応実験システムの開発 生体活性レベルの変化が選択反応実験時の脳波波形の変動として出現するという仮定のもとで、選択反応実験が行えるシステムの開発を行った。このシステムは、2種類の刺激(2種類の色、あるいは2種類の文字パターン)をランダムに発生し、それと同時にその刺激を与えた時から決められた時間だけ脳波波形を採取するシステムである。あらかじめ定められた目標刺激が出現した時だけその回数をカウントするよう被験者に義務づけた実験において、ARモデルに基づくパタン認識手法を用いて、脳波波形のみからそのときの刺激の種類を推定することを試み、ある程度の識別が可能であることを確認した。 2.波形認識法による睡眠脳波ステージ自動判定システムの構築 睡眠レベルでの新しい情報抽出法の妥当性を検討するために,その対比システムとして,専門医の視察判定手法をそのまま計算機で実現する,波形認識法によるGUI環境を備えた睡眠脳波ステージ自動判定のシステムを構築した.これによって、前処理としてのフィルタをインタラクティブに調整しながら睡眠ステージの判別を実行が可能となり,その結果、現システムと視察判定結果の不一致の原因をより容易に視覚的に把握できることが確認された。このシステムによって、約80%程度の精度でステージ判定できることを確認しているが、今後、システムの更なる改善を図るとともに、生体活性レベルに関する特徴抽出法を組み込んだシステムの構築へと発展させる予定である。 3.生体活性レベルの特徴量としての非定常性の定量的抽出法に関する検討 離散ウェーブレット解析を通して,非定常性の定量的抽出に関する各種検討を行った。その結果、サンプリング周波数変換等の前処理を行うことによって、ある程度の特徴を抽出可能であることは確認してきているが、きわだった特徴量の抽出までは至っておらず,今後更に検討を進めて行く予定である.
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