6年度は、IEEE EMC Standard 1140 1994の測定法を用い、VDTから放射されるVLF、ELF波の測定法の基礎的検討を行った。すなはち電界検出用プローブ、磁界測定用コイル、バタ-ワ-ス形のハイパスフィルタおよびロ-パスフィルタ、積分器を作製した。さらに、プローブを既知の電界の平行板電極および既知の磁界ヘルムホルツコイルを用いて較正を行った。これらの測定装置を用いて市販の4台のVDTの電界磁界を測定した結果14'カラーCRTにおいてELF帯では27.3nT〜656.0nT、VLF帯では73.4nT〜1698.0nTの磁界が、また2.55V/mの電界が観測された。 7年度はVDTから放射される磁界の周波数成分を測定することにより、放射磁界の発生源を特定する目的で、VDTからの磁界を測定しオシロスコープで波形を観測し、FET処理により周波数分析を行った。観測された磁界の波形は電子ビームの掃引のため三角波であり、その周波数スペクトルはバンドIでは基本周波数が170Hz、バンドIIでは基本周波数は25KHzである。 さらにこれらの磁界がVDT周辺でどのような分布を有しているかを、位置精度を高めるため、直径の小さいピックアップコイルを使い観測した。また、VDT正面を0゚とし反時計方向に90゚づつ回転させ4面での磁界分布を5cm刻みでメッシュを切り行い、各々の点でX、Y、Zの3方向成分を測定し磁界の絶対値とし表し、各々の面の磁界分布を等磁界分布線で表現した。 これらの測定結果から、VDTから放射される磁界の周波数スペクトルやVDT周辺の磁界分布の測定から、磁界発生源はバンドIでは垂直偏向コイル、バンドIIでは水平偏向コイル及びフライバックトランスであることを明らかにし、放射電界磁界を低減する方法の基礎データになるものと思われる。
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