研究概要 |
ロボット指を用いた物体の把持と操作過程において,その把持位置,把持状態,そして把持物体への外力などについて,その状況を認識する必要がある.このためには各種センサのセンシングが必要となるが,これらのセンシングを実行する上で「何をセンシングすべきか,またそれをいかに利用するか」というインテンションの問題が生ずる.そこで,インテンショナルセンシングとして環状走査形距離センサの開発を行い,また分布形触覚センサのセンシング手法について研究を実施した. 環状走査距離センサは,インテンションとして物体表面上の注目点が与えられたとき,その注目点とその周辺の距離計測を可能とする機能を有するもので,距離計測範囲は現在のところ30mmから100mmの範囲で,3σとして0.7mmの精度を有する結果(暗室状態)が得られており,また,物体表面上を環状に走査を行って距離情報を取得し,容易に特徴抽出が行えるという結果が得られている. つぎに,分布形触覚センサによるセンシング手法は,作業対象となる物体を多面体と仮定し,物体表面の触像アスペクトならびにそのグラフの作成法について研究を進め,触覚センサのセンサ表面が物体表面の一つの面分より十分大きな場合について触像アスペクトの取得法を確立した.この手法を用いると触像アスペクトから触覚センシングによって取得される触覚像と物体表面の対応関係が与えられる.したがって,センシングのためのインテンションが生起したとき,その対応する物体表面の触覚像が推定され,さらに,実際に触覚センシングによってその触覚像と物体表面の関係が確認される.
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