本研究を進めるための実験システムの構築、実験によって得た知見成果、今後の研究課題の考察などに分類して報告する。 [実験システムの構築] 計測系の要である受光光学システムが完成し、ほぼ実験が開始できるようになった。広い波長帯域にわたって受光可能なセンシングシステムとするためにレンズに代えて楕円ミラーによる集光系を設計製作した。同様に、広い波長帯域を受光するために各種光センサと対応する光フィルタ、偏光素子などを適宜選択設置出来る機構を整えた。 光検出後の信号処理は微弱信号検出法としてのロックインアンプを軸に構成し、パーソナルコンピュータを含めた信号処理システムも完成した。 試料加熱装置は、カンタル抵抗線を用いて自作した。 以上の各装置をシステム化し、実験システムとして稼働できるようになった。 問題点としては、光信号の交流化のためのチョッパーの能力が十分でなく、設計仕様では1kHzまでのチョッピングを目標にしていたが、モーターの容量がやや不足し、1kHzでは周波数の安定性が十分ではない。実験の合間をみて改善する。 [知見・成果] 本実験光学システムで、微弱信号である常温付近の対象からの放射を測温することが十分に可能であることを確認した。現在、試料として金属を対象にして進めている。本システムと関連する機器システムを利用し、本報告書裏の項11に記述してあるように5件の知見成果を研究発表している。 [今後の課題] 今後は、放射率問題を中心に本研究を充実させていく。特に、酸化膜成長制御のための真空加熱炉製作など来年度の研究計画を推進する。
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