2次の非線形システムにおいて、その係数が2次の多項式までで記述できるシステムのダイナミックスについて、位相面解析と計算機シュミレーションにより検討を行い、減衰的な振舞いから振動的な応答の系は勿論、不安定な系、リミットサイクルを生ずる系まで幅広い系が表現できることがわかった。したがって、このようなシステムで殆どの2次までの非線形は表されることが判明した。次に、2次の非線形の多項式のパラメータを推定する方法として、線形積分フィルタを用いた連続系の同定手法を適用できるように拡張した。この方法は他の連続系の同定手法に比べて、微分項の処理が容易ですぐれていることが明らかとなった。また観測雑音のかなり大きな場合についても、多項式の係数が精度良く推定できることが確認できた。これらの結果から、一般の非線形系を取り扱うには2次の非線形微分方程式の係数が2次までの状態の多項式で記述できる系まで考えれば十分であり、3次までとったとしてもその効果はあまりなく、雑音が大きいとき推定するパラメータが多くなり精度が悪くなるので、線形化補償が有効に行われないことがあることがわかった。今後、非線形系の次数が2次以上になったときの問題、適応線形化補償としてオンラインで制御したときの安定性の問題などが次年度以降の検討すべき課題となる。
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