2次非線形システムにおいて、その係数が2次の多項式までで記述できるシステムによって、殆どのシステムが表現できることを明らかにして、積分フィルタによる連続系のパラメータ同定手法が有効であることを確認してきたが、本年度は非線形システムで3次以上のシステムについての検討を行った。その結果3次以上の系においては線形の1次系を付加したようなシステムでは問題がないが、本質的に3次の系についての開回路特性のパラメータの微小変化が閉路特性にあまり影響がない場合についてはオンライン適応制御方式を用いても不安定になることはなく、良好な結果が得られることが判明した。雑音に対する検討を行ったが、かなり大きな雑音レベルに対しても平滑化法などを用いることにより解決できることが明らかになった。しかしながら、入力に対する微分項を含むような場合、すなわち、線形の伝達関数の分子の項を含むような系で閉路系の極と負の零点が近いような場合に対しては線形化補償を行うことは非常に難しいことが確認された。そのような系の適応制御についての問題が今後の課題である。
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