本研究では、アンポンドタイプのPCはり部材について、まず単純はりを対象としてフォーリングブランチ領域を含めた特に終局域での耐荷挙動を検討し、次いで連続はりを対象としてひび割れ発生以降から終局状態に到るまでの曲げモーメント再分配挙動を始めとした耐荷特性を実験的に検討するとともに、それらの定量化について検討した。 本研究から得られた主要な結果を要約すると以下のとおりである。 1.アンポンドPC単純はりでは、スパン・有効高さ比(L/d)が同一の時、せん断スパンが長くなると最大抵抗曲げモーメントが減少し、また最大曲げ耐力の低下はL/dが大きいほど顕著である。 2.アンポンドPC単純はりの最大抵抗曲げモーメント時のPC鋼材応力に及ぼす載荷位置の影響はL/dが小さい場合に特に顕著である。 3.アンポンドPC単純はりに最大抵抗曲げモーメントの75%の高荷重を後載荷時と著しく異なる短いせん断スパン長で前載荷し、かなりの損傷を与えた後でも終局域の耐力などの諸挙動には影響を与えない。 4.アンポンドPCの連続はりでは、単純はりの場合と同様にポンドタイプに比べて、最大曲げ耐力が10〜20%低下すること、曲げひび割れ発生以降は部材剛性が低下し、また荷重の増大にともなうPC鋼材応力の増加量が著しく小さいこと、などが認められた。 5.連続はりでは曲げひび割れ発生以降から曲げモーメントの再分配現象が認められたが、荷重-中間支点、載荷点モーメント関係の曲線形状にはPC鋼材付着の有無で特に顕著な差異はみられなかった。 6.アンポンドタイプの単純はりのフォーリングブランチ域を含む挙動はスパン全長に対するPC鋼材とコンクリートとの変形適合条件を考慮した解析法で、また 連続はりの終局域までの挙動はPC鋼材変形適合係数を用いた繰返し計算による非線形解析法でかなりよく算定できた。
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