本研究は、都市橋梁の橋脚デザインについて、(1)その現状分析、(2)デザインを拘束する要因、及び(3)デザイン的可能性について研究することを目的としている。 (1)、(2)については、平成6年度に、札幌、室蘭、大阪、及び東京において、目視による観察を行った。 その結果、河川橋については、河川管理施設等構造令などによる拘束により橋脚形態のデザインは不可能であり、デザイン的可能性が少ないことが指摘された。また、上記構造令の橋脚形態に関する条項は経験工学的論拠によっていることが指摘されている。 また、高架橋橋脚については、特に、橋脚頭部の構造的重複が指摘され、主桁の横桁と剛性を適正に配分することにより、よりすっきりした外観の形成が可能であることが指摘され、また、廃水管の処理が稚拙なことによりいかに外観を損ねているかが指摘されている。 以上を踏まえて、平成7年度においては、CGによる橋脚デザインの試みを行った。CGソフトはシグマリスを用いたが、まず、その機能を研究し、現在橋脚デザインに求められている機能は、レイヤ機能、リピーテッドアイテム機能、ワークプレーン機能等ほとんど要していることがわかった。それらを用いて、前年度に指摘された、橋脚頭部の処理、及び廃水管の処理等を、した場合としない場合の、種々の視点からの景観図を多数描き、考察を加え、適正な処理により景観がいかに改善されるかを指摘した。 更に、直線的な部材の構成からなる新しい橋脚のデザインを試みた。それは、V字と逆V字を交叉させた構造で、強度計算はまだなされていないが、従来にない新しい発想であり、高架橋等の景観に新しい考えを導入するものと期待される。
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