研究概要 |
本研究では,橋のなかで最も需要の多いI桁橋を対象に,橋を構成する部材数を徹底的に少なくした省力化構造,すなわち無補剛構造の開発と,あわせその設計法の開発を行う. 本年度は,橋の立体的挙動を解明するためのFEM解析を行った.まず,大次元のFEMモデルを作成し,疲労発生と密接に関連する橋の局所応力を同時に考慮できるモデル化の検討を行い,簡易モデルの作成手法を確立した.次に無補剛化の可能性を探るために,簡易モデルを用いて,補剛部材を徐々に撤去し橋の全体と局所の挙動を検討した.この結果,ラテラルや対傾構といった部材の撤去によっても疲労発生に密接に関連する局所応力があまり増加しないこと,かえって減少する場合もあることを明らかにした.あわせ,床版厚を厚くすることによって,増加した局所応力を低減できることを明らかにした.これより,ほとんど無補剛の省力化橋システムの可能性があると考えられる. 以上は従来形式の橋構造を対象とした検討であるが,最近注目されている桁本数をも最小化した2主桁橋に着目した基礎的検討を行った.すなわち,2主桁橋の横方向の補剛材の配置,形状等をパラメータとし,橋の全体および局所応力との関係を明らかにするためにFEM解析を行った.この場合も,横補剛材の配置や形状が全体挙動に与える影響は小さいことを明らかにした.局所変形については,パラメータによる差異が比較的小さいものの,この応力が疲労と密接に関連することから,更に詳細に検討を行うこととしている.
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