1.有限個の測定点における観測データから、空間的な確率的変動特性(空間座標に従属した平均値と共分散関数)を決定するため、ロバスティック推定法によって、平均値と共分散を表す最良な数理モデルを見い出した。その結果、非線形重み付き最小2乗法を反復的に繰り返すことにより、適合度の高い解を得ることができた。 2.不偏性の条件下で、最小推定誤差分散を与えるように、観測データの線形(あるいは非線形)結合による補間(内挿・外挿)項とその誤差項を加えることによって、場の未知の物理量を予測した。ノイズが存在しないとき、未観測点が観測点に一致すると、予測値は完全に観測データと一致する。確率場の特性が非正規あるいは非定常であっても、また非線形予測式であっても、誤差項の性質を正しく評価することにより、理論解を数学的に誘導することができた。 3.2.の基本理論を時空間の条件付確率場の問題に適用した。時間座標に、ARモデルの特徴を活かし、有限個の時間ステップだけ、過去と未来の影響を反映させ、未観測点での予測式を誘導した。1観測場の条件付シミュレーションを漸次拡張させていくことにより、安定した時空間構造が得られた。本方法と条件付確率密度関数に基づく方式(既往の研究)を対比させることにより、工学における発展性・拡張性・簡易性・適用性・有用性などの面で、Krigingを基本とした本方式の特徴が明確になった。 4.確率場の特性、有限箇所での観測値や先験的に与えられた対象の力学特性(例えば、不整形地盤や波動理論などの物理的根拠)を加味した推定法、すなわち、観測データのみならず、それらの物理的な周辺情報源を用いる方法を考えた。このような3つの情報をハイブリッドに利用することにより、空間的な変動量と不確定性を減少させ、現象により接近できるような条件付確率場の理論を提案することができた。
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