本研究の主な成果は次のようにまとめられる。 1.先験的知識によってあるいは観測データから、対数正規確率場の共分散は既知だが、平均値が完全に知られていない場合に対し、条件付推定問題を取り扱った。このUniversal KrigingはSimple Krigingとは明らかに異なる。平均値という重要な特性が未知だと、1)未観測点の推定値はSimple Krigingのものよりもよくならないこと、2)推定精度は誤差分散ではなく、変動係数的指標でしか分析できないことなどがわかった。 2.条件付正規確率場において、パラメータの不確定性と観測値を同時に考慮したベイズの推定理論を確立し、未観測点における物理量を推定(補間)する方法を提案した。数値計算によると、1)不確定性(分散)を小さくすると、このBayesian Krigingの結果はSimple Krigingのものに漸近し、逆に2)平均値の不確定性を大きくすると、Universal Krigingの結果に漸近することがわかった。すなわち、このBayesian Krigingは、Simple KrigingとUniversal Krigingの中間的な特性を有する。 3.東京ガスの地震動モニタリングシステムの展開と、それからの地震動情報に基づく警報システムの開発を行った。情報をリアルタイムに処理するため、GIS上に各種データベースを構築したので、被害推定、震源推定、スペクトル評価と意志決定は容易に行える。さらに、マグニチュード、震源距離と被害に関する経験則を求めているので、地震直後に被害を概略的に知ることができる。
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