95年度のまでの研究は、2次元流れの場での解析が中心であった。しかし、実際の構造物での空力弾性問題を扱う場合、2次元解析では物体に作用する力が実際よりも大きめに求まることが分かった。それは、2次元的な流れの場でも、主流方向と直角の方向の流れが若干生ずるが、これが流れの中に置かれた物体に作用する力に大きく影響していることによる。よって、数値解析では3次元性を考慮する必要があることが判明した。 そこで、本年度は、前年度に開発された手法を、3次元問題に拡張することを行なった。さらに、実際の橋梁は3次元性を有していることから、ここでは、実際の橋梁への適用も同時に検討した。 (1).3次元空力弾性問題への数値流体解析の適用 2次元流れの場での解析手法の研究成果を踏まえた上で、3次元空力弾性問題の一つである橋梁の耐風設計に、即座に反映できる有効的な解析手法を開発した。数値流体解析の基本断面である円柱まわりの解析をレイノルズ数をパラメータとして解析を行い、実験地と結果が良く一致する結果を得た。 (2).実橋梁断面での3次元解析 実際に施工された箱桁断面の風加重の解析を、2次元、3次元の両者の解析を行い、3次元解析が、風洞実験結果と一致する結論を得た。これより、実構造の設計には、3次元解析が必要であることが分かった。 (3).耐風設計との連携 数値流体解析で得られた結果を実際の耐風設計に生かすことを試みた。耐風設計のための基本的なパラメータを正確に数値解析により評価するには、3次元数値解析が必要であることが分かった。ただし、概略設計段階では、加重が大きくはなるが2次元数値解析でも設計上のパラメータを決定するには実用に耐えうることが分かった。 (4).3次元グラフィックス グラフィックツールであるGLを用いて、実構造物を対象とした3次元の可視化ソフトを開発した。
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