室内実験と解析に分けて成果の概要をまとめる. 【室内実験】 (1)加熱カラムでの溶質の蓄積現象が非加熱カラムとの比較によって確認された。飽和度分布は加熱・非加熱カラムでそれほど相違は見られず、温度勾配下での水蒸気移動が一因であると推論した。 (2)降雨浸透を模擬した実験から、加熱後の溶質移動の特徴を見出した。非加熱カラムでは、鉛直降下流による溶質の下方移動がカラム内の初期濃度を超えないように減少するのに対し、加熱カラムでは時間遅れを伴いつつ、カラム上方から順に初期濃度を一度超えてから減少することを発見した。このことは、降雨現象の頻度が溶解性汚染物質の蓄積現象に寄与することを意味し、汚染物質の蓄積に気象条件も考慮することの必要性が確認された。 【解析】 水蒸気と間隙水の移動、熱の移動を考慮した溶質輸送モデルを試作し、室内実験と簡単な境界条件の問題に適用した。計算の特徴は、熱移動と溶質輸送の計算にラグランジェ法を用いている点である。全体の計算は、ラゲランジェ法とオイラー法を交互に使用し、計算の効率化を計っている。この計算から、 (3)室内実験における加熱の有無による濃度分布の違いを、熱と水蒸気移動でよく説明できることを確認した。 (4)等温条件と非排水・非排気条件の計算を行い、解析解との比較を行って、モデルの改良すべき点として、 (1)ラグランジェ積分の数値計算精度の向上 (2)蒸発率の推定精度の向上 が、明らかになった。
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