地盤の液状化ポテンシャル評価法としてコーン貫入試験や弾性波速度計測があるが、現況では地震前の原位置試験より得られるコーン先端抵抗など力学指標と、地震時の地盤の液状化強度との直接的相関関係を与える実地データが不足している。本研究では、高遠心力場において飽和砂地盤の振動実験を行うとともに、その前後で2成分ミニチュアコーン(先端抵抗と間隙圧)を用いたコーン貫入試験とせん断波速度計測を実施した。そして、'原位置試験'より得られたパラメータと、地盤間隙比や液状化抵抗との関係について検討を加えた。 模型地盤は、アルミ製矩形せん断土槽内に脱気したシリコンオイルを流入し、オイル中に気乾状態の珪砂8号を撒き出すことにより作成した。本研究では、動的遠心実験における粘性スケーリングを考慮して、間隙流体として高粘性のシリコンオイルを採用している。地盤作成途中で、地盤底部に間隙圧センサ、地盤中部にせん断波速度計測用の圧電振動子と加速度センサ、地盤中部と表面に液状化実験での振動計測用加速度センサをそれぞれ配置した。 実験の結果、地盤の平均間隙比とせん断波速度より計算される正規化せん断剛性との相関について、Iwasaki and Tatsuokaによる経験式と良い対応を得た。また、間隙比と土被り圧により正規化したコーン先端抵抗との間にも良い相関を得た。密な地盤の液状化実験では振動載荷に伴い過剰間隙圧が蓄積し、初期液状化に至る時点でサイクリックモビリティによる過剰間隙圧の高周波変動や地表面における非線型加速度応答が観測された。原位置試験結果と液状化強度との関係については、正規化コーン貫入抵抗や正規化せん断剛性の増大とともに地盤の液状化強度も大きくなる傾向を得た。
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