本研究の目的は、アスコン表層のひび割れ発生後に急増するわだち掘れ挙動に着目して、路盤あるいは路床の噴泥現象(ゆるみ領域の発生)という観点から、その解析手法を確立することである。この目的のために、平成6年度の研究は、土要素試験装置の設置とそれを用いた噴泥現象の究明に重点を置き、次のように実施することにした。各項目ごとに研究業績の概要を列記する。 1.土要素試験装置の設置:本試験装置の制作、設置、調整等はすべて完了した。 上記試験装置を用いた噴泥現象の究明:この究明に関する試験は、地震による断水のため、予定より若干遅延しているが(約90%完了)、次のような試験結果が得られている。 (1)路盤材(粒度調整砕石)、路床材のいずれの試料においても、繰返し載荷のもとでの噴泥現象(載荷板方向への細粒分の移動)が目視及び写真撮影によって確認された(発生機構の確認)。 (2)目視及び写真撮影で認められる噴泥現象の発生領域(上部楕円形状から球形状へ移行)は間隙水圧測定によるものとほぼ同一であった(発生領域の確認)。 (3)上記発生機構及び発生領域に及ぼす載荷圧及び載荷板巾の定量的な影響も確認された。 3.噴泥発生領域内での試料状態の設定:各試験終了後に噴泥発生試料の密度変化と粒度変化を調べた。その粒度変化のみを考慮した材料特性化試験(繰返し三軸試験)の結果を用いた数値解析では、噴泥現象による沈下挙動を解明できないことがわかった(平成7年度の研究目的の一部)。 上記研究実績を考慮して、平成6年度の研究を早急に完遂するとともに、平成7年度の研究を進展したい。
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