本研究は、全国の7地点でサンプリングした不撹乱海性粘土を用いて、現位置での初期応力状態を再現して繰返し三軸圧縮試験を行い、粘土の動的強度のデータを集積することを目的として行ったものである。具体的には、以下の事柄について研究を行い成果を得た。 1)種々の塑性指数I^pから成る不撹乱粘性土を用いて、繰返し三軸圧縮試験により粘土の繰返しせん断強度を求め、粘土の種類や現位置での堆積環境などを考慮して、繰返しせん断強度に及ぼす要因を明らかにした。さらに、繰返しせん断強度を塑性指数やみかけの過圧密比などのファクターで定式化を行った。 2)異方圧密粘土の繰返しせん断特性の評価 粘土の異方圧密下で非排水繰返し三軸圧縮試験を行った。様々な大きさの初期せん断応力および繰返しせん断応力を組み合せ、繰返し応力の主軸の反転の有無を含めた実験を行った。実験結果はリアルタイムで整理し、間隙水圧および、残留せん断ひずみの定量化をはかった。 3)三主応力載荷式繰返し三軸試験機により、中間主応力を変化した繰返し試験を行い、粘土の堆積構造の異方性の影響を調べた。 4)実験結果を用いて粘土地盤上の盛土などの耐震安定性を評価できる円弧滑り法による安定解析プログラムを作成した。また、安定解析プログラムにより、地震や波浪による繰返し荷重を受ける粘土地盤上の盛土の安定解析を行った。
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