さんご礁海域には石灰質生物の殻やさんご礁の破片からなる砂や礫が堆積している。本研究ではさんご礁堆積物の粒度特性から地盤の強度を評価することを目的として、さんご砂の力学特性とそれに及ぼす礫分の影響について検討した。 力学特性の解明には、海底から掘削したさんご砂礫を用いて、それらの最大粒径、粒度分布及び礫含有量を調整した試料について、圧密排水三軸圧縮試験、透水試験及びK_0値測定のための一次元圧縮試験を実施した。 主な結果は次のようである。 1)内部摩擦角は、せん頭粒度試料では最大粒径が大きいほど増加するが、相似粒度のように均等係数が同じであれば粒径の大きさに関係なく一定である。 2)礫含有量の増加に伴って礫含有量40%までは内部摩擦角は増大する。一方、礫含有量率の増加に伴う内部摩擦角の増加は礫の粒径の大きさによる影響は少ない。 3)粒度特性に基づく要因分析によると、内部摩擦角は均等係数と礫含有率の影響が顕著である。 4)さんご砂の透水係数は間隙比の増加に伴って増大する。 5)透水係数は礫含有率20%までは一定であるが、それ以上では礫含有率の増加に伴って透水係数が増大する。また、さんご砂では透水係数は0.25mm以下の細粒分に支配される。 6)一次元圧密容器によるK_0値測定にはリングの剛性を考慮することが重要である。比較的剛性の大きいリングによるさんご砂のK_0値は間隙比に関係なくほぼ一定であるが、粒子破砕が発生する応力域ではわずかの粒子破砕に伴ってK_0値は0.8-0.9にまで増加する。
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