研究概要 |
土構造に立脚して水の浸透に伴う土中における重金属の挙動を解明する目的で、解析および実験的に検討した結果、次の事項が研究の成果として取りまとめることができる。 1.風化度に対して土構造の相違が著しいまさ土層に焦点を当て、浸透実験および浸透流解析結果からマクロポアに関係する水みちの存在が指摘された。つまり、マクロポアの存在により土層の表層よりも深部の方が水分の増加が急激に進ことが見られた。このことは、汚染物質が、水みちを移動し地下水の汚染を引き起こすことを示唆するものである。 2.上記の土構造の特徴を分析するため、特に乱さない試料を凍結乾燥し水銀圧入法により空隙分布を測定した結果、風化度の大きい試料ほど卓越したマクロポアが見られた。そして、この事実は電顕観察からも非常に多孔質であることが確認された。 3.重金属として銅イオンを取り上げ、カラム試験により銅の吸着量を測定した。試料としては、砂、風化度の異なるまさ土を対象とした。これらの材料の吸着等温線は、Langmuir型の吸着特性を示した。一方、乱さない試料でも乱した後2〜0.85mmにふるった試料では、Langmuir型を呈した。すなわち、乱されることにより土構造が破壊されたためと考えられる。つまり、1,2で指摘した土構造が銅イオンの吸着特性に深く関与していることが明らかとなった。このような現象は、細孔内の吸着拡散現象として取り組まれ、自然地盤の汚染物質の挙動は、B.E.T.型の吸着式による拡散方程式解析の有益性を示している。今後X線マイクロアナライザーを導入した細孔内の元素分布の分析結果から拡散現象を詳細に検討する予定である。
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