錨氷の発生と土砂輸送の関連を調べるため3年間にわたり天塩川水系仁宇布川(流域面積159km^2)で12月〜3月間に気温、水温観測、及び毎年結氷初期の約10日間、土砂輸送の原因となる錨氷の発生状況の調査を行った。 これまでの気温・水温観測結果及び本年度の野外調査結果より次のような知見が得らた。 (1)冬季水温は長期間にわたって過冷却の状況にあり晶氷の発生は日常的である。 (2)結氷初期及び終期には水温と気温は良い相関があるが、日射は結氷終期に向かって経時的に増加し、その水温に対する影響は強まっていく。 (3)日射、気温、水温のそれぞれの時間変化は対応するが、日射、気温、水温の順序でそれぞれ1時間程度の遅れをもって発生する。 (4)錨氷の調査より錨氷の密度と流速の関係が観測され、流速の大きい程、錨氷の密度及び厚さは大きくなることが観測された。 (5)錨氷の発生量と気温の関係が見いだされた。 (6)気温と流速をパラメターにして錨氷の発生条件が初めて提示された。 (7)種々の材料への錨氷の付着量が、鉄、コンクリート、木、プラスチックの順であることが試験的に確かめられた。 (8)河床材料への錨氷の付着過程が連続的に観測され、付着物周辺の流れとの関連が見いだされた。 また、錨氷の土砂輸送に及ぼす効果については、今回の現場測定では、余り大きな影響が見られなかったが、今後更に検討を続ける必要がある。
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