研究概要 |
突出した波高を持ち,波群を伴わずに単独で出現する異常な高波,Freak waveの発生機構およびその特性の解明を行い,以下のような効果を得た まず,非回転波動の基礎方程式を疑似スペクトル法によって高精度で解き,深海での不規則波列の伝播シミュレーションを実施し,伝播過程での波峯現象について調べ,3次以上の高次干渉によって突出波形が生成されることを明らかにした。すなわち,風波のスペクトルを持つ不規則波列においても高次干渉によって非分散性の拘束モードが生じることを分散関係によって明らかにするとともに,この拘束モードが波峯を突出させ,最大波高を増大させてFreak warkを生み出すだけでなく,波群形状を急峻にし,GFの値を増大させる一方,平均連長を減少させることを見い出した。 ついで,こうした高次干渉の波高分布に及ぼす影響を調べ,高次干渉によって高波高部分の出現確率がRayleigh分布を上回るようになり,高次干渉下ではRayleign分布に代わってWeibull分布が用いられるべきことを示すと同時に,その母数の推定法を提案した.さらに,高次干渉の波峯の突出に伴って砕波頻度が増大するため,水理実験結果を基にその推定法を提案すると同時に,波高分布への影響についても明らかにした.また,現地観測結果を基に実海域でのFreak waveの特性とその発生原因についても検討し,それがやはり高次干渉によっていることを明らかにした. これらの成果を5編の論文として発表している.
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