研究概要 |
対象としたのは木曽川下流部の濃尾大橋下流部(尾西市起地先)に建設された2基のワンド護岸工による人工ワンドで,その平面形状によるワンド内の水循環率,ワンド周辺の植生分布状況,ワンド周辺の土壌微生物の活発度,土壌pH,粒径分布および密度について調査した. 【水交換率】この2基の人工ワンドは,ほぼ同一規模の入り江状の形状を持っているが,開口部の長さと位置が違うため,水質についてはかなり相違があることが,台風26号直後の現地観察と開口部の流速分布測定から確認でき,流速分布測定の結果から,概して開口部上層から本川の河川水がワンド内に流入し,下層部から流出していることがわかった.交換率は上流側のワンドで,約10時間,下流側のワンドで約40時間であった.このことから,人工ワンドの平面形状および開口部の位置と幅が水循環率に大きく影響していることが明らかとなった. 【植生分布状況と土中微生物】距離標33.0kmの測量断面に沿った植生分布および土中微生物の活発度などについて現地調査を行った.植生については稲科の植物を中心に,約40種が確認できた.また,スライドフィルムを利用した蛋白質分解バクテリアの活発度調査の結果から,植生群落中の土壌で活発な活動が見られた. 【土壌の物理的構造と植生】その他,人工ワンド周辺の土壌pH,粒径分布,および密度を調査したが,特に重要な差異は見られなかった.これはこの人工ワンドが建設されてから2年程度しかたっておらず,建設工事の影響がまだ残っているためであると考えられる.また,植生に関しては,日照条件や土中の水分量といったローカルな気象条件が重要であることが予想されたが,詳しくは平成7年度の調査による.
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