研究概要 |
最近建設される護岸は、周辺環境に及ぼす影響を小さくする目的で緩勾配で透水性を持つ形で施工されることが多い。本研究では、礫を用いて建設された礫浜護岸を取り上げ、その水理機能と変形について検討を加えた。 出口・椹木は、大型2次元造波水槽を用いて模型礫浜上での波変形と礫浜の断面変形に関する実験(勾配1/5,1/10,入射波高10〜20cm,周期1.2〜2.0秒,5秒)及び人工礫浜(大阪府,臨空タウン地先)での波浪変形,海浜変形の実測を行い、礫浜上での波浪減衰,遡上,反射の測定を行い、不透過斜面上でのそれらと比較することによってその利点について検討すると同時に、礫浜の遡上抑制効果を明らかにするために、非線形長波理論と透水槽内の流体運動に対する出口らが既に定式化している非定常非線形ダルシー則を時間発展的に解く非定常解析法を開発し、透水係数の増加に伴う遡上高さの減少を定量的に評価する手法を提案した。その結果、礫浜上での砕波水深,破波波高は、不透過の場合に比べて減少すること、特に遡上高さの減少は顕著であること、減少率は、斜面勾配が小さい程、斜面を構成する礫の粒径が大きい程、大きくなることが分かった。また、遡上高さについては、提案した数値モデルで精度良く再現されることが分かった。 小野は、実験及び現地観測で得られた礫浜の平衡断面形状に対してDeanによって提案されている2/3乗則の適用性について検討を加え、断面係数を大きく変化させることなく、2/3乗則が適用できることを確認した。また、人口礫浜の平面的な変形については、一次元モデルで予測可能なことも分かった。
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