研究概要 |
標題に示された研究目的を達成するため、諌早市域でこれまで数回にわたって降下粉塵の計測を行い、本明川において水量観測ならびに理化学的水質指標、生物学的水質指標を用いた水質観測を実施した。併せて、都市域からの汚濁負荷流出予測、水域での水質予測の計算プログラムの作成を行った。 まず、前者の問題に関しては、物理的見地からの降雨-流出解析モデルを提案し、水量予測だけでなく、流域からの汚濁負荷流出量を予測することができる計算プログラムを開発した。つぎに、受水域の本明川では生物学的水質指標をも併用した水質評価にための観測を行い、さらに感潮域では、浮遊懸濁粒子(SS)が有機物汚濁指標の生物化学的酸素要求量(BOD)に多大な影響を及ぼすことから、それらの機構解明に向けて、昼夜にわたる24時間観測、数値シミュレーションを実行した。 以上の結果、都市化に伴う汚濁負荷量の変化を十分に予測市、水環境への悪影響を最小限に抑えるためには、流域から水域へ流出する点源、非点源汚濁負荷量を極力抑制することの重要性が示された。また、水域の水質判定に生物学的指標のBiotic Index , pollution Indexを取り上げ、また、理化学的指標にBOD,DO等を取り上げた場合、それらの指標による水質判定は相互に密接な関係があることが明らかにされた。それと同時に、快適な水環境を達成していくにあたって、流域からの汚濁負荷流出の抑制だけでなく、多自然型護岸の施工等の積極的な水環境整備施策を展開することの重要性が示された。
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