(1)平成7年度の蒲生ラグーン全体の水理学的な調査によると、七北田川河口の閉寒状態はほとんどなく、ラグーン内の水位の変化は良好であったが塩分は高い値を示した。(2)平成6年9月中旬の低気圧の来襲により、高波が蒲生海岸に打ち上げ砂をラグーンに持ち込んだ。このためラグーン入り口から100mまでの千潟地形が最大30cm程度上昇し、この部分に生息していたコメツキガニが激減、巣穴も減少した。上昇した部分の地形は平成7年3月に流入前の高さに浚渫された。この間千潟内に砂が拡散し、例年より千潟の底面が部分的に高まった。一度流入した砂はラグーン内を移動するだけでほとんど外に排出されないことがわかった。(3)千潟地形の季節的な変化を平成4年度-平成7年度の4年間の変動から調べたところ、春期から夏期にかけて、入り口から140m-230m付近にある主要な千潟は堆積する傾向がみられ、230m以降の地形は堆積と浸食が交互に起こっていることがわかった。(4)(2)の時には、ラグーン奥部にも高波が砂を持ち込んだ。このためラグーンの海側の岸辺は最大50cm浅くなり、低潮時に千潟が生ずるようになった。昭和54年度の横断地形と比較したところ底面の著しい浅水化が起こったことが明白となった。このラグーン奥部の水域は、ラグーンの千潟、およびに生息する生物に対して重要な意味をもっいてるので元に復すよう人為的な手を加える必要を指摘した。(5)千潟上の底生生物の巣穴は、砂質のところでは底面を柔らかくし流れにより発生する渦で地形変形が起こりやすいことが千潟に生ずる直径20cm-50cmに及ぶ穴の存在から推測された。
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