貯水池における淡水赤潮の発生・集積事例として、風屋貯水池及び青蓮寺貯水池の現地調査資料について整理・分析を行った。その結果、淡水赤潮の集積は、水深0.5m以内の表水層で生じ、その水平方向への広がりは数10m〜数百mのスケールであること、風速1m/sec以下の風が集積に寄与する傾向があり、3m/sec以上の風では集積を阻害すること、淡水赤潮原因藻類であるペリディニウム・ビペスの走光性に関連して集積は日照の開始と同時に始まり、午後に顕著となること、滞留日数が5日以下となるような出水時には、藻類が輸送流下され、集積は消滅すること、貯水池流入部で淡水赤潮の集積が生じる場合には、流入河川水温が貯水池表層水温より低く、流入水が中層以深へ潜り込み、表層に上流へ向かう流れが認められること、ペリディニウム・ビペスは光の方向へ向かって0.5〜2.0m/時で昼間に上昇し、夜間の暗条件下では3〜4m/時に達する沈降を示すことがあり、こうした昼夜における上下運動も集積現象に大きく関係していることなどが明らかにされた。 青蓮寺ダムの貯水池を対象に、秋季における流入部での淡水赤潮集積現象の現地観測を共同実施するとともに、一方向多層モデルを用いて貯留水の流れと淡水赤潮の集積に関する数値解析を実施した。その結果、河川流入水の潜り込みに伴なう淡水赤潮の流入端への集積現象の実態を把握するとともに、数値解析では、こうした流入部での流れの再現が可能となった。
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