砂、礫等で構成される浸透性路床上の流れにおける層内流れと層上流れの間の物質輸送について(1)浸透層は3種に区分されるが、これらのうち境界面に近い層A、Bの2領域が物質輸送に主として関係する。(2)浸透層Aは浸透層上部に位置し、セル状の形態をとる主流との交換の盛んな領域であり、境界面のおよそ80%の面積を占め、その形状比は0.25程度である。交換層セルの厚さは浸透層構成材料の代表粒径に依存する。(3)物質輸送特性を減衰時間定数、交換速度、拡散係数の形で検討し、これらが水理量、浸透層構成材料の特性に依存することを示し、次元解析により関数関係を明らかにした。 地下水中の汚染物質の動態については、(1)河川水から地下水へ涵養する場合、河川底の土壌を通過するため塩分の土粒子への吸着反応が発生する。従って、土壌および底泥の土粒子に対する塩分の吸着量を室内実験により明らかにし、吸着等温線を求めた。その結果、吸着過程と脱着過程間にヒステリシスが存在することが明らかになった。(2)河川水と地下水間の境界領域での流れを飽和-不飽和浸透理論により涵養量を推定した結果、感潮河川の水位変動に伴い涵養量もかなり大きく変動することが判明した。 また、河川における濁度物質の流送過程については(1)室内実験、現地観測結果より濁度は流下に伴い指数関数的に減少し、その減衰速度は河川流では、V_b=6.69×10^<-5>(m/s)程度の値であり、室内実験では無次元減衰速度V/u_*は相対粗度高さd_m/h、路床高さ、砂粒レイノルズ数u_*d_m/v、無次元化粘性底層厚δ/h、速度係数U/u_*に依存する。 (2)数値計算結果より支川あるいは浸透水の流入による希釈、及び河床と河道水とにおける濁質の交換が河川の濁質分布に主要な影響を及ぼしていることが分かった。
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