研究課題/領域番号 |
06650578
|
研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
平田 健正 和歌山大学, システム工学部, 教授 (30093454)
|
研究分担者 |
寺尾 宏 岐阜県保健環境研, 環境科学部, 専門研究員
|
キーワード | 地下水汚染 / 硝酸性窒素 / 化学肥料 / 生活排水 / 土壌浸透 / 窒素安定同位体 / 土地利用 / 地下水利用 |
研究概要 |
本研究の主課題は、地下水汚染物質の一つである硝酸性窒素に焦点を当て、地下水から検出される窒素の起源を環境同位体を調べることによって明らかにすることである。それには硝酸汚染の顕在化した地域地下水での現地観測が不可欠であり、いくつかの自治体研究機関との共同研究を実施した。 山形県試験地では、深度別の地下水質を調べるため7本の観測井を建設した。この観測井から深度別地下水試料を採取・分析した結果、深くなるほど硝酸性窒素や硫酸イオン濃度が減少し、これとは逆に窒素安定同位体比δ^<15>N値は増加するなど、農地の浅層地下水は施肥の影響を受けていることが明らかになった。硝酸汚染地域の一つとして、福岡県内の茶畑でも地下水の一般水質項目に加えてδ^<15>N値も分析している。この地域では窒素肥料として堆肥等の有機肥料を多量に施用していることから、硝酸性窒素濃度とδ^<15>N値には正の相関のあることが分かった。また沖縄県宮古島試験地では、土地利用別に地下水質を整理したところ、市街地でのδ^<15>N値は農地のそれよりかなり高まっており、地下水中で検出される硝酸性窒素のδ^<15>N値を分析すれば、窒素の起源を推定できる可能性のあることも判明した。 さらに岐阜県各務原台地では、硝酸性窒素対策として肥料の減量化と取り組んでいる。この効果を確認するため、全域的な地下水質調査を実施した。1994年調査と1990年調査結果を比較すると、硝酸性窒素濃度20mg/l以上の地点は、前回の7地点から2地点、10mg/l以上の地点は21地点から20地点となり、畑作地帯を中心に高濃度地点で対策の効果の現れていることが実証された。
|