研究概要 |
平成7年度は,二つの主要な研究を行った。 一つ目は,航空会社の路線供給行動と乗客の路線選択行動の均衡概念を用いた国際航空旅客需要モデルに関する研究である。航空旅客市場においては,航空会社は路線の供給行動を担うが,これは空港運営主体にとっては需要行動となり,旅行者にとっては供給行動になる。行き先方面別の運行頻度や機材の種類による座席数に基づく供給量の変更は他の交通市場におけるよりも柔軟性が高く,航空会社は旅客の需要行動を探りながら利潤最大化を目指して供給量を決定している。一方,旅客はこの路線設定によって一般化費用が変化するため,行き先方面別に効用最大化を目指して出発空港及び航空会社を選択するように需要量を決定している。本研究では,この二者の行動の均衡として航空旅客市場が表されるとして,国際航空旅客の需要分析を行った。この結果現在成田空港に集中している国際線旅客の分散化が可能なことを示した。 二つ目は,空港へのアクセス交通分析である。空港の比較優位性を保つにはアクセスの良否が決め手になるといわれているが,研究レベルでアクセス交通の需要分析を行った例は意外と少ない。本研究では,個人のアンケート調査に基づく運輸省航空旅客動態調査データを用い,名古屋空港への国際及び国内旅客の交通手段・経路選択行動を非集計モデルで表した。さらにこのモデルを現在計画中の中部新国際空港のアクセス交通網の代替案に適用し,提案されている鉄道ルート,道路ルートの交通量を推計し,その代替案評価を行うことができた。
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