ナビゲーションシステム等に代表される経路誘導方策は、道路交通の効率的な制御のための重要な手段である。本研究ではドライバーの望ましい経路誘導をめざした交通情報システムの設計方法に関して考察した。この種の交通情報システムの設計にあたっては、交通量のモニタリングシステム、交通条件の動的予測システム、交通情報の提供システムという3つのサブシステムを構築する必要がある本研究ではこのような情報システムを本研究代表者が開発した合理的期待形成を考慮した経路選択行動モデルを明示的に組み込んだようなシミュレーションモデルを開発することにより実験的構築することを目的とする。開発したシステムは実際性、効率性を志向したものであり、実用化の可能性は極めて高い。特に、最終年度である平成7年度には昨年度に実施したサブシステムに関する研究成果を統合し、ドライバーの効率的な経路誘導をめざした交通用法システムを開発した。以上の研究成果は以下のように大別できる。1)交通情報システムの実験的運用に関する研究---実際に、交通情報システムを構築するとともに、被験者を対象とした実験を行いシステムの有効性を検証した。昨年度に開発したサブシステムは互いに複雑に関連しており、それぞれのシステムの望ましい開発戦略はその統合された全体システムの設計を通じて検証されなければならない。このような観点から平成7年度は交通情報システムの統合化とその機能の総合評価を実施した。2)交通情報のプライシングと経済性評価に関する研究---交通情報提供の便益・価値を経済学的に評価するとともに、交通情報の望ましいプライシング方法について考察し、経路誘導システムの経済性評価を行う方法を開発することに成功した。以上の研究成果により当初の研究目的は達成しえたものと評価する。
|