研究課題/領域番号 |
06650591
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
青山 吉隆 徳島大学, 工学部, 教授 (80035633)
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研究分担者 |
廣瀬 義伸 徳島大学, 工学部, 助手 (90240887)
山中 英生 徳島大学, 工学部, 助教授 (20166755)
近藤 光男 徳島大学, 工学部, 助教授 (10145013)
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キーワード | 人口の社会移動 / 効用格差 / 交通施設整備 / 地価 / 人口移動モデル / 一極集中 / 格差是正 / シミュレーション |
研究概要 |
1980年代の地方から東京やその周辺地域への急激な人口移動によって、わが国は、人口の首都圏一極集中の国土が形成されてきた。これによる弊害は深刻であり、様々な都市問題を引き起こした。これらの問題を解決するためには大都市圏への人口集中を緩和し、多極分散型の国土を形成することが課題とされ、種々の方策が考えられている。 以上のような背景により、人口の地域間移動の状況について分析を行うとともに、地域間の効用格差によって人口移動が生ずるという仮定のもとに、地域の効用を導き、地域間人口移動モデルを作成した。本研究では、このモデルを用いて、交通施設整備による地域間の旅行時間短縮や雇用求人数の変化により生じる人口移動状況のシミュレーションを行った。 分析結果によると、1980年代後半から1990年代初頭にかけて、地方圏→近畿圏→東海圏→関東圏へと人口移動が起こっていることがわかった。また、先述の仮定に基づいて構築した地域間人口移動モデルは、かなり精度良く推定することができた。このモデルを用いたシミュレーションの結果、現在の地方圏から都市圏への人口移動の緩和には、交通網整備を行い、都市圏の雇用求人数を削減し、地方圏の雇用求人数を増加させる方法に大きな効果がみられた。また、交通網整備においては、都市圏を結ぶ道路網整備より地方圏間および地方圏と都市圏を結ぶ道路網整備を優先させた場合の方が、効果が早く現れることがわかった。現在の東京一極集中を是正し、均衡ある多極分散型国土の形成の実現には、地方圏における基幹産業の発展等による雇用面での充実と交通網整備により地方圏の魅力を向上させ、都市圏との効用格差の是正を図る必要があると考えられる。
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